- 給料に関する基本の仕訳
- 所得税預り金と社会保険料預り金
- 預り金の納付
- 法定福利費
企業は従業員に対して毎月給料を支払います
もちろんこの給料の支払いについても仕訳が必要です
また会社勤めをされている方はわかると思いますが、給料は全額振り込まれるわけではありません
所得税や社会保険料といったものが差し引かれた額が振り込まれます
差し引かれた所得税と社会保険料は翌月に会社が従業員に代わって納付します
それでは一連の流れにおいてどのように仕訳をしていくのかみていきましょう
基本の仕訳
従業員に対して給料120万円を当座預金から支払った
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
給料 | 1,200,000 | 当座預金 | 1,200,000 |
給料は費用の勘定科目です
給料(費用)が発生し、当座預金(資産)が減少しているので、
借方に給料(費用)
貸方に当座預金(資産)
となります
所得税と社会保険料の控除
先にも述べたように給料は全額従業員に支払うわけではありません
簿記3級の範囲では、
- 所得税
- 社会保険料
の2つを控除した額を支払います
所得税と社会保険料を控除するときは、
- 所得税預り金(負債)
- 社会保険料預り金(負債)
を使用します
本来は社会保険料の中に雇用保険料というものが含まれているのですが、
ここでは無視してください
給料の支払い
2月25日、授業員に対して1月11日〜2月10日までの給料120万円を支払った
所得税の源泉徴収票額は10万円、社会保険料控除額は12万円(会社負担額13万円)である
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
給料 | 1,200,000 | 所得税預り金 | 100,000 |
社会保険料預り金 | 120,000 | ||
当座預金 | 980,000 |
給料(費用)が発生するので、
借方に給料(費用)
所得税預り金(負債)と社会保険料預り金(負債)が増加し、当座預金(資産)が減少するので、
貸方に
所得税預り金
社会保険料預り金
当座預金
となります
当座預金の金額は、給料から所得税預り金と社会保険料預り金を差し引いた額となります
借方、貸方の合計額が合致していることを確認しましょう
預り金の処理
従業員から預かった所得税と社会保険料はどうなるのでしょうか?
もちろんこれらは会社のものにはなりません
会社が従業員に代わって翌月に納付することになります
それでは例2の続きの仕訳を見ていきましょう
翌月の3月に従業員から預かった所得税と社会保険料を当座預金から納付した
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
所得税預り金 | 100,000 | 当座預金 | 350,000 |
社会保険料預り金 | 120,000 | ||
法定福利費 | 130,000 |
社会保険料は預り金と共に会社負担額も同時に納付します
その際に使用する勘定科目は法定福利費(費用)となります
所得税預り金(負債)、社会保険料預り金(負債)が消滅し、法定福利費(費用)が発生するので、
借方に
所得税預り金(負債)
社会保険料預り金(負債)
法定福利費(費用)
当座預金(資産)が減少するので、
貸方に当座預金(資産)
となります
未払法定福利費について
例2と例3の仕訳で押さえておきたいことは、
法定福利費という費用が3月に発生しているということです
この法定福利費は3月分の費用ではなく、2月の給料支払いに伴って発生する費用であること
上記から法定福利費(費用)は毎回1ヶ月遅れで計上される費用ということが分かります
ということは、
会計期間が4月から3月の場合、3月に支払われる給料に伴う法定福利費は翌期の4月に計上される事になります
家賃、保険料の仕訳で学んだ通り費用は決算整理仕訳で当期の費用を正しく計上する必要があります
法定福利費についても例外ではありません
3月25日、授業員に対して2月11日〜3月10日までの給料120万円を支払った
所得税の源泉徴収票額は10万円、社会保険料控除額は12万円(会社負担額13万円)である
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
給料 | 1,200,000 | 所得税預り金 | 100,000 |
社会保険料預り金 | 120,000 | ||
当座預金 | 980,000 |
ここまでは例2と同様です
期末日になったので4月に支払う予定の法定福利費について決算整理仕訳を行う
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
法定福利費 | 130,000 | 未払法定福利費 | 130,000 |
3月の給料支払いに伴ない、法定福利費13万円が発生します
しかしこの法定福利費を支払うのは翌期の4月なので未払として負債を計上する必要があります
所得税預り金と社会保険料預り金も支払うのは翌期の4月ですが、これらはもともと負債の勘定科目ですので決算整理仕訳はありません
決算整理仕訳が必要なのは費用と収益です
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