この記事では簿記3級における
固定資産、減価償却について
用語の意味や仕訳の基本とコツを
わかりやすく解説しています
- 固定資産とは?
- 固定資産に関する仕訳例
- 取得に関する仕訳
- 減価償却の考え方
- 減価償却に関する仕訳
- 売却に関する仕訳
固定資産とは?
- 土地
- 建物
- 備品
- 車輌運搬具
- 機械装置
固定資産とは販売目的ではなく長期間保有する資産や、1年を超えて費用化または現金化される資産のことです
簿記3級で出てくる固定資産には
「土地」「建物」「備品」「車輌運搬具」「機械装置」
の5種類があります
もちろん全て資産の勘定科目となります
固定資産の取得
事務所で使用するソファー(10万円)を購入し、代金は後日支払うこととした
事務所で使用するソファーは固定資産となります
使用する勘定科目は備品(資産)です
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
備品 | 100,000 | 未払金 | 100,000 |
「後日支払う〜」なので買掛金を使いたくなるところですが、
買掛金は商品売買でしか使用しません
商品売買以外で「後日支払う〜」は未払金を使用します
減価償却
固定資産について決算時に行わないといけないのが減価償却です
まずは減価償却について簡単に説明いたします
減価償却のイメージ
例えば、あなたが最新のスマートフォンを購入したとします
価格は15万円(高いっ!)
ここで、スマートフォンはあなたにとって資産となります
そして3年後、あなたはまた別の機種に機種変更する為に3年前に購入したスマートフォンを売却します
さて、この時15万円で購入したスマートフォンはいくらで売却できるでしょうか?
答えは実際に査定をしてみないとわかりませんが、購入時と同額の15万円で売れることはありませんよね?
そうです!
資産は時間と共にその価値が減っていきます
15万円で購入した資産をいつまでも15万円の価値があるとするのは会計上も良くありません
ですので一定期間ごとにその価値を見直していくことが必要となります
そこで登場するのが減価償却です
なんとなくイメージできましたでしょうか?
- 固定資産を取得したときに仕分けを切ることにより帳簿上に資産が計上されます
- 期末日ごとに減価償却を行うことで帳簿上の資産価額を減らしていきます
- 固定資産には耐用年数というものがあり、耐用年数を迎えた時に帳簿上の価格が「決められた価格」となるように毎年減らしていく金額を計算します
耐用年数を迎えた時の「決められた価格」のことを残存価額といいます
定額法
減価償却の仕方にはいくつか方法がありますが、簿記3級で学ぶのは定額法のみとなります
定額法では毎年一定の額を固定資産の取得原価(購入額)から差し引いていきます
そうすることで帳簿上の資産の価値を時間と共に減らしていくことができます
それでは仕訳の具体例を見てみましょう
期初に備品を20万円で取得した。
期末日になったので、この備品について定額法で減価償却を行う。
残存価額はゼロ、耐用年数は20年とする。
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
減価償却費 | 10,000 | 備品減価償却累計額 | 10,000 |
耐用年数:20年
これは20年後にこの備品の価値が0円になるということなので、
毎年1万円(20万円÷20年)ずつ価値が減っていくということになります
減価償却費は費用の勘定科目です
このような減価償却累計額を用いた方法を間接法と言います
帳簿上では固定資産の価額から減価償却累計額を引くことで実質の固定資産の価額を計算することができます
他に直接法というものもあるのですが簿記3級の減価償却では間接法のみが出題されます
固定資産の売却
あなたはちょうど3年前に15万円で購入したスマートフォンをリサイクルショップで売却したところ5万円で売却することができました
購入した価格は15万円
売却した価格は5万円
スマートフォンの耐用年数は5年、残存価額はゼロ
あなたはいったいいくら損(または得)したと思いますか?
答えは1万円の損です
購入時のスマートフォンの価値はもちろん15万円ですが、売却時までに3年が経過しているので、
その価値は
15万円÷5年×3年
つまり9万円減っていることになります
よって売却時のスマートフォンの価値は
15万円−9万円=6万円
となります
そのスマートフォンを5万円で売却したので、
5万円−6万円=−1万円
つまり1万円の損となります
このように固定資産を売却したときは、
購入価額から減価償却累計額を引いて、固定資産売却益または固定資産売却損を計上します
それでは仕訳の具体例を見ていきましょう
固定資産の売却(仕訳)
2020年10月1日に取得した備品(購入価額:20万円/耐用年数:10年/残存価額:0円)を2023年3月31日(期末日)に現金16万円で売却した
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
現金 | 160,000 | 備品 | 200,000 |
備品減価償却累計額 | 30,000 | 固定資産売却益 | 10,000 |
減価償却費 | 20,000 |
借方に現金(資産)
貸方に備品(資産)
また、備品に対する減価償却累計額は備品の取得価額から差し引くので、
借方に減価償却累計額(負の資産)
当期分の減価償却も同時に行うので、
借方に減価償却費(費用)
差し引き1万円の得となるので、
貸方に固定資産売却益(収益)
となります
ここでは20年10月〜22年3月までの累計額です
期中に購入した場合、減価償却費は月割りで計算します
6ヶ月分の減価償却費は
20万円÷10年×(6ヶ月/12ヶ月)=1万円
なので
20万円÷10年×1年6ヶ月=3万円
となります
ここでは22年4月〜23年3月までの減価償却費です
20万円÷10年×1年=2万円
となります
2020年10月1日に取得した備品(購入価額:20万円/耐用年数:10年/残存価額:0円)を2023年3月31日(期末日)に現金10万円で売却した
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
現金 | 100,000 | 備品 | 200,000 |
備品減価償却累計額 | 30,000 | ||
減価償却費 | 20,000 | ||
固定資産売却損 | 50,000 |
仕訳例③と同様に仕訳します
借方に固定資産売却損(費用)
となります
まとめ
- 固定資産とは販売目的ではなく長期間保有する資産や、1年を超えて費用化または現金化される資産のこと
- 固定資産は減価償却することで帳簿上の価値を毎年減らしていく
- 固定資産を売却したときは減価償却も加味した実質の価値から固定資産売却益(損)を計上する
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