この記事では仕訳問題でも頻出の預金に関する仕訳について解説します
ひとくちに預金と言っても普通預金、当座預金、定期預金主に3種類の預金が簿記では登場します
それぞれの預金の違いや仕訳例を学ぶ事で預金に対する理解を深めていきましょう
預金の種類と違い
まずは預金の種類と違いについて解説します
冒頭でも触れたとおり簿記3級では以下3種類の預金が登場します
これらの違いをまとめたものが下の表になります
預金の種類 | 引出/預入 | 自動引落 | 通帳 | 利息 | 小切手/手形 |
---|---|---|---|---|---|
普通預金 | ATM等でいつでも可能 | あり | あり | あり | 使用不可 |
当座預金 | 原則、取引店の窓口で | あり | なし | なし | 使用可能 |
定期預金 | 満期までは不可 | なし | あり | あり | 使用不可 |
それではそれぞれの預金口座について詳しくみていきましょう
普通預金
普通預金とは一般でもよく利用されている預金となります
皆様が持たれている銀行口座もおそらくはこの普通預金でしょう
普通預金は銀行やコンビニ等に設置されているATMでいつでもお金を預けたり引き出したりすることができます
また、給与や年金の自動受取やクレジットカード代、公共料金などの自動支払いができます
そして口座ごとに発行される通帳に記帳することでお金の出し入れを記録、管理することもできます
銀行によって利率は異なりますが預金残高に応じて利息がつくことも普通預金の特徴です
このように普通預金は生活に欠かせない預金口座となっています
当座預金
当座預金とは企業や個人事業主が業務上の支払いのために利用する預金です
公共料金の自動支払いも可能です
しかし普通預金とは違いATMでいつでも自由にお金を預けたり引き出すことはできません
払い出しも預け入れも原則取引店の窓口でおこないます
当座預金からお金を引き出すときは現金ではなく小切手や手形を振り出す形でおこないます
預金残高に応じて利息がつくこともありません
また、原則通帳が発行されることはなく、代わりに当座預金取引照合表というものが発行されます
取引額に上限がなく、小切手や手形を振り出せることなどから、取引先との金銭のやり取りに向いている口座となります
定期預金
定期預金は普通預金と同じく一般に広く浸透している預金口座です
普通預金との違いは、口座開設時に預け入れ期間を決めることです
開設時に指定した期間を過ぎるまでは中途解約をしない限り預金を引き出すことができません
その代わり、普通預金と比べて支払われる利息の利率が高めに設定されています
このように定期預金は将来のための資金形成や将来的に必要となる資金の確保に向いています
預金に関する仕訳例
それでは預金に関する取引について仕訳の具体例を見ていきましょう
ここでは普通預金、当座預金、定期預金に分けて解説していきます
普通預金の取引
まずは普通預金の取引について見てみましょう
預け入れ
現金10,000円をATMで普通預金口座に預け入れした
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
普通預金 | 10,000 | 現金 | 10,000 |
借方に普通預金(資産)
貸方に現金(資産)
となります
引き出し
普通預金口座からATMで現金10,000円を引き出した
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
現金 | 10,000 | 普通預金 | 10,000 |
普通預金(資産)が減少し、現金(資産)が増加しているので、
借方に現金(資産)
貸方に普通預金(資産)
となります
普通預金からの支払い
電気代30,000円が普通預金口座から引き落とされた
電気代で使用する勘定科目は水道光熱費(費用)です
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
水道光熱費 | 30,000 | 普通預金 | 30,000 |
水道光熱費(費用)が増加し、普通預金(資産)が減少しているので、
借方に水道光熱費(費用)
貸方に普通預金(資産)
となります
利息の受取
普通預金口座に利息1,000円が入金された
利息を受け取った場合に使用する勘定科目は受取利息(収益)です
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
普通預金 | 1,000 | 受取利息 | 1,000 |
受取利息(収益)が増加し、普通預金(資産)が増加しているので、
借方に普通預金(資産)
貸方に受取利息(収益)
となります
当座預金の取引
続いて当座預金に関する仕訳を見てみましょう
預け入れ
新しく当座預金口座を開設し、現金1,000,000円を預け入れた
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
当座預金 | 1,000,000 | 現金 | 1,000,000 |
当座預金(資産)が増加し、現金(資産)が減少しているので、
借方に当座預金(資産)
貸方に現金(資産)
となります
小切手の振り出し
A社への買掛金50,000円の支払いのために小切手を振り出して支払った
小切手は当座預金を開設することで使用できる有価証券です
小切手によって支払いをした場合、最終的に自社の当座預金口座から同額が引き落とされるので当座預金勘定(資産)を使用します
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
買掛金 | 50,000 | 当座預金 | 50,000 |
当座預金(資産)が減少し、買掛金(負債)が減少しているので、
貸借方に買掛金(負債)
貸方に当座預金(資産)
となります
支払手形の決済
A社への買掛金50,000円の支払いのために振り出した手形が期日となり50,000円が引き落とされた
手形も小切手と同様、当座預金口座を開設することで使用できる有価証券です
手形が決済されたときは当座預金口座から引き落としがおこなわれます
勘定科目は支払手形勘定(資産)を使用します
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
支払手形 | 50,000 | 当座預金 | 50,000 |
当座預金(資産)が減少し、支払手形(負債)が減少しているので、
貸借方に支払手形(負債)
貸方に当座預金(資産)
となります
当座預金からの支払い
従業員の給与1,000,000円が当座預金口座から支払われた
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
給料 | 1,000,000 | 当座預金 | 1,000,000 |
当座預金(資産)が減少し、給料(費用)が増加しているので
貸借方に給料(費用)
貸方に当座預金(資産)
となります
定期預金の取引
最後に定期預金に関する取引です
利息の受取
定期預金の利息5,000円が口座に入金された
普通預金の例と同様に仕訳します
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
定期預金 | 5,000 | 受取利息 | 5,000 |
定期預金(資産)が増加し、受取利息(収益)が増加しているので
貸借方に定期預金(資産)
貸方に受取利息(収益)
となります
預金間の振替
普通預金口座の2,000,000を用いて新たに定期預金口座を開設した
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
定期預金 | 2,000,000 | 普通預金 | 2,000,000 |
普通預金(資産)が減少し、定期預金(資産)が増加しているので
貸借方に定期預金(資産)
貸方に普通預金(資産)
となります
まとめ
今回は預金口座の種類とその違いについて解説しました
最後にもう一度それぞれの預金の特徴をまとめます
預金の種類 | 引出/預入 | 自動引落 | 通帳 | 利息 | 小切手/手形 |
---|---|---|---|---|---|
普通預金 | ATM等でいつでも可能 | あり | あり | あり | 使用不可 |
当座預金 | 原則、取引店の窓口で | あり | なし | なし | 使用可能 |
定期預金 | 満期までは不可 | なし | あり | あり | 使用不可 |
今回使用した勘定科目
資産 | |
---|---|
普通預金 | ATMで出金や入金などができる一般の銀行口座 |
当座預金 | 企業や個人事業主向けの口座 小切手や手形などを用いる決済専用の口座 |
定期預金 | 引き出せるまでの期間が長いが 普通預金に比べて利息が高い一般の銀行口座 |
現金 | 紙幣や硬貨、また小切手などすぐに換金できるもの |
負債 | |
買掛金 | 商品を掛けで購入したときに 後日代金を支払う義務 |
支払手形 | 商品代などを支払う時に使用する約束手形 期日になると手形分の金額が口座から引き落とされる |
費用 | |
水道光熱費 | 水道、電気、ガスなどにかかる費用 |
給料 | 従業員に労働の対価として支払う費用 |
収益 | |
受取利息 | お金の貸付や、銀行への預入により 利息として発生する収益 |
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