- 簿記における商品とは?
- 知っておきたい!商品売買の仕訳例10選
- 商品売買でよく使用する勘定科目一覧
この記事では独学で簿記3級を勉強されている方向けに、商品売買の仕訳について例を用いて解説しています
また、誰にでもわかりやすいように細かい論点はあえてスルーしていますのであらかじめご了承ください
独学で簿記の勉強をされている方はもちろん仕訳問題で行き詰まってしまった方も、この記事で商品売買の仕訳を学ぶことにより仕訳そのものに慣れていきましょう
簿記における商品
簿記における商品とはどういうものなのでしょうか?
売る側に立ったとき簿記における商品は一般的なそれと同じです
しかし,買う側に立ったときは状況によって使用する勘定科目が異なります
それでは詳しく見ていきましょう
販売目的で購入したもの ▶︎ 商品
自社で使用するためなどに購入したもの ▶︎ 商品ではない
買う側に立った場合、簿記における商品とは販売目的で購入したものに限ります
スーパーが店頭に並べるためのものを商社から仕入れるような場合は「商品」
同じスーパーでも事務所で使用するためのものを購入した場合は「商品ではない」
といった感じです
この記事では商品売買の仕訳をテーマとしていますので前者の場合の例を解説していきます
商品売買の仕訳10選
商品売買の仕訳では三分法という方法を使います
複式簿記の記帳方法には他に分記法、総記法という記帳方法がありますが、ここでは詳しい説明は割愛します
三分法で使用する勘定科目は以下の3つです
仕入(費用)
売上(収益)
繰越商品(資産)
繰越商品勘定は決算整理仕訳で使用します
今回は期中における商品売買の仕訳例ですので繰越商品勘定は出てきません
それでは以下の商品売買の例で仕訳を見ていきましょう
例)A社は販売目的でB社からパソコンを10台(1,500,000)購入した
商品の仕入
商品の仕入なのでA社側の仕訳です
以下の5つの場合で見ていきましょう
なお()内は勘定科目目の5つの分類を表します
現金で購入した場合
仕訳)
現金(資産)を使用して(減少)、パソコン10台を仕入れるので(費用の増加)、
借方に仕入、貸方に現金を記帳します
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
仕入 | 1,500,000 | 現金 | 1,500,000 |
金額はパソコン10台分の金額150万円になります
ツケで購入した場合
ツケ払いとは代金の後払いのことです
実際の売買ではこの代金の後払いを利用することがほとんどです
この場合、使用する勘定科目は買掛金となります
この買掛金についても商品売買でのみ使用する勘定科目となります
買掛金は後日代金を支払う義務を表すものなので負債の勘定科目となります
仕訳)
買掛金(負債)を使用して(増加)、パソコン10台を仕入れるので(費用の増加)、
借方に仕入、貸方に買掛金を記帳します
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
仕入 | 1,500,000 | 買掛金 | 1,500,000 |
後日、買掛金を現金で支払ったときは次のように仕訳します
仕訳)
買掛金(負債)が減少し、現金(資産)が減少するので
借方に買掛金(負債)、貸方に現金(資産)を用います
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
買掛金 | 1,500,000 | 現金 | 1,500,000 |
手形で購入した場合
手形を使用する際も代金の後払いという点では買掛金と同じ流れになります
しかし買掛金が会社同士での約束なのに対して、手形は銀行を介した約束になります
ここでは詳細な説明は割愛しますが、手形の方が約束通り代金を支払えなかったときのペナルティが重いというイメージとなります
仕訳)
手形で支払う場合は借方に仕入(費用)、貸方には支払手形(負債)を用います
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
仕入 | 1,500,000 | 支払手形 | 1,500,000 |
後日、支払手形の金額が当座預金から引き落とされたときは次のように仕訳します
仕訳)
支払手形(負債)が減少し、当座預金(資産)が減少するので
借方に支払手形(負債)、貸方に当座預金(資産)を用います
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
支払手形 | 1,500,000 | 当座預金 | 1,500,000 |
小切手で購入した場合
小切手とは一定の金額の支払いを約束する有価証券です
当座預金を開設することで使用することができるようになります
仕訳)
小切手で支払った場合、当座預金から代金が引き落とされることになります
よって借方に仕入(費用)、貸方に当座預金(資産)を用います
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
仕入 | 1,500,000 | 当座預金 | 1,500,000 |
ここまで4種類の支払い方法で仕訳の例を示しましたが変わるのは貸方のみで、当然ですが仕入の金額が変わらない限り借方は同様となります
送料(1,000円)を負担する場合(商品は買掛金、送料は現金で支払い)
商品を仕入れる際にかかった送料は仕入原価に含みます
仕訳)
今回の場合、商品代金は買掛金、送料は現金で支払っていますので
借方に仕入(費用)、貸方に買掛金(負債)と現金(資産)を用います
また、送料は仕入原価に含みますので借方の金額は1,501,000円となります
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
仕入 | 1,501,000 | 買掛金 | 1,500,000 |
現金 | 1,000 |
商品の販売
今度は商品の販売なのでB社側の仕訳です
A社がの仕訳と同様に以下5つの場合で見ていきましょう
現金で販売した場合
商品を現金で販売すると売上が計上(収益の増加)され、現金を得ることができます(資産の増加)
仕訳)
借方に現金(資産)、貸方に売上(収益)を用いて記帳します
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
現金 | 1,500,000 | 売上 | 1,500,000 |
ツケで販売した場合
ツケで購入したときは買掛金(負債)を用いましたが、ツケで販売したときは売掛金を用いて記帳します
売掛金は後日代金を回収できる権利ですので資産の勘定科目となります
仕訳)
借方に売掛金(資産)、貸方に売上(収益)を用います
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
売掛金 | 1,500,000 | 売上 | 1,500,000 |
後日、売掛金を現金で回収したときは次のように仕訳します
仕訳)
売掛金(資産)が減少し、現金(資産)が増加するので
借方に現金(資産)、貸方に売掛金(資産)を用います
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
現金 | 1,500,000 | 売掛金 | 1,500,000 |
手形で販売した場合
販売したとき手形を受け取った際もも仕訳の仕方は売掛金の時と同様になります
使用する勘定科目は受取手形(資産)となります
仕訳)
借方に受取手形(資産)、貸方に売上(収益)を用います
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
受取手形 | 1,500,000 | 売上 | 1,500,000 |
後日、受取手形の金額が当座預金に振り込まれたときは次のように仕訳します
仕訳)
受取手形(資産)が減少し、当座預金(資産)が増加するので
借方に当座預金(資産)、貸方に受取手形(資産)を用います
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
当座預金 | 1,500,000 | 受取手形 | 1,500,000 |
小切手で販売した場合
販売したときに小切手を受け取った際は現金の勘定科目を用います
小切手は銀行に取立依頼をすればすぐに現金化できる有価証券なので簿記では小切手を受け取った際は現金と同様に仕訳をおこないます
仕訳)
借方に現金(資産)、貸方に売上(収益)を用います
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
現金 | 1,500,000 | 売上 | 1,500,000 |
送料を負担する場合(商品は売掛金、送料は現金で支払い)
商品を販売したときに送料も販売側が負担するケースです
この場合、送料は費用として計上します
売上金額から送料分を差し引く仕訳は現在認められていませんので注意が必要です
送料がの勘定科目は発送費、荷造運賃などを使用します
いずれも費用の勘定科目となります
仕訳)
借方に売掛金(資産)と発送費(費用)、貸方に売上(収益)と現金(資産)を用います
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
売掛金 | 1,500,000 | 売上 | 1,500,000 |
発送費 | 1,000 | 現金 | 1,000 |
送料は仕入時と販売時で取り扱いが違いますが、とにかく費用で計上するということを覚えておいてください
仕入時に使用する費用勘定は仕入
販売時に使用する費用勘定は発送費、荷造運賃など
となります
まとめ
最後にこの記事で使用した勘定科目の一覧と送料の取り扱いについて表にまとめたものを示します
今回使用した勘定科目一覧
資産 | |
---|---|
現金 | 硬貨や紙幣などの現金、もしくは他人振り出しの小切手など 銀行ですぐに換金できるもの |
当座預金 | 企業や個人事業主向けの小切手や手形などを 用いる決済専用の銀行口座 |
売掛金 | 代金を掛けで販売した際、後で代金を 受け取ることができる権利 |
受取手形 | 代金として受け取る約束手形、また期日に手形分の 金額を受け取ることができる権利 |
負債 | |
買掛金 | 商品を掛けで購入した際、 後で代金を支払う義務 |
支払手形 | 代金として支払う約束手形、また期日に 手形分の金額を支払う義務 |
費用 | |
仕入 | 販売目的で商品を購入する際の費用 |
発送費 | 商品を発送した際に運送などに かかる費用 |
収益 | |
売上 | 商品を販売することで得られる収益 |
送料の取り扱い
送料の取り扱い | |
---|---|
仕入時 | 仕入時の送料を自社が負担しときは 送料を仕入原価に含める (仕入勘定を使用する) |
販売時 | 販売時の送料を自社が負担したときは 送料を経費として記帳する (発送費勘定などを使用する) |
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